こんにちは。
今日はちょっとした報告をしたいと思います。
内容的には、ちょっと上級者向けかもしれません。
スナイプワールドで1.2.4位を取った、アメリカのセールメイカー、Quantum Sailのチューニングガイドをこの記事以降、紹介させていただけることになりました。
会社の方からも許可を得ております。
Quantumは基本的にバングシーティングを想定しているようです。
日本にあるチューニングガイドは、ノースセイルのものが主流です。
僕も折に触れてこのブログで扱ってきました。
しかし、そのチューニングガイドには、バングシーティングよりもトラベラーシーティングの方がいかなるコンディションにおいても優位です、と書いてあります。
バング派の僕としては、困ってしまいます。まあほとんどは一緒なんですけど。(笑)
バングだったらチューニングって違うんかな、とか考えてしまいますよね。
違います。
オーバーパワーになった時のデパワーの仕方が違うからです。
当然、チューニングも変わってしかるべきです。
ではいったいどんなチューニングにしたら良いのか?
それをこの記事で簡単に説明していきます。
結論から言えば、トラベラーはピンアップ、バングはピンダウンです。
この記事は、Quantumのチューニングガイドに入っていくための序章的な扱いです。
トラベラーはどうやってデパワーしているのか?
トラベラーシーティングではどのようにデパワーしているのか?
これには二つあると考えています。
まず一つ目。
トラベラーを出すと、同じメインシートテンションのまま、ブームが下側に出ます。メインセールのシェイプを保ったままセールと風の角度=迎角を浅くすることができます。つまり、揚力がダウンします。これによってデパワーしている、というのが僕の考えです。
つまり、センタリングしてたら横方向にたくさんかかる力は、トラベラーを出すことで小さくなります。だからデパワーできる、というわけです。
メリットとして、メインシートが引き込まれているので、サギングしません。
メインを不用意に出してサギングしてしまうと、ジブが深くなってパワーが逆についてしまいますが、それを防ぐことができますね。
(基本事項として、メインシートを引くとフォアテンションが強くなります)
次に二つ目。
ブローに入っても基本的には、トラベラーを出して対処します。
このときに、マストがサイドベンドすることでもデパワーしています。スナイプのマストは柔らかいので、根本から曲がるため「サイドリーン」とも言うみたいです。
まあそれは置いといて、ブローが入った時にマストが横に曲がることで風を逃がしているというのが、トラベラーの二つ目のデパワー方法でしょう。
これを前提にチューニングについて考えてみましょう。
トラベラーのチューニングは?
トラベラーシーティングでは、トラベラーを出して、マストを横に曲げてデパワーしました。
メインシートは入っているので、サギングはしません。
では吹いてきたらどうするか?
マストを横に曲げたいので、サイドテンションを緩くしたいです。サイドが緩くなれば、当然フォアテンションも緩くなりますが、メインシートが入っているので問題ありません。
ただ、テンションを抜くと、レーキも下がってしまいますよね。
スナイプはだいたい6520-70とかで気持ちいくらいのヘルムになるようにできています。
テンションを抜けば、サイドテンションが落ちて走りやすくなりますが、レーキが低くなりすぎる問題が発生してしまいます。
なので、ピンをアップします。
ピンを上げてテンションを緩めに張る。
そうすれば、レーキを保ったまま、サイドテンションを落として走れるわけです。
トラベラーを出して、柔らかいマストで走れるということになります。
まとめれば、ピンを上げてレーキを維持したままサイドテンションを落として走る、というのがトラベラーの基本的な考え方です。
バングのデパワーは?
バングシーティングの場合は、メインを出して走りますよね。
そうするとトラベラーと違って、メインシートでフォアテンションを保てないので、サギングしてしまいます。
(よくバングを入れることでサギングする、という説明もなされますが、スナイプの場合はもともとのフォアテンションが低くメインシートによって決まる部分が大きいので、ほぼメインと考えています)
サギングするから、アフターを当てとかないといけません(ゆーてニュートラルくらい、これは後の記事で詳述します)。
トラベラーの場合はアフターは基本的には解放です。
まあ、バングはメインを出してデパワーしますよって話だけ掴んでおいてくれたら大丈夫です。
んでサギングする。
ということです。
バングのチューニングは?
メインを出すと、サギングします。また、相対的にリーが強くなりますよね。
ということで、フォアテンションをある程度保ちたいし、ウェザーがちょっとほしいわけです。なぜならばメインが出てるから。
さらに、メインを出すので、しっかり風が逃げてほしい。つまり、ジブを通った風がちゃんときれいにメインを流れてほしいわけです。メインとジブのオーバーラップが大きいとなかなか風は逃げてくれません。
以上の理由から、バングではピンダウンをした方が良いことが多いです。
ピンを下げてある程度テンションを引けば、フォアテンションが上がります。なので、メインを出してもサギングせず、適切なジブの形を保てます。サイドテンションはアップしますが、トラベラーと違ってサイドリーンでデパワーするわけではないので、関係ありません。
また、ローレーキになりますが、そもそもメインはセンタリングできていないので、ウェザーが強くなりすぎるということにはなりません。上でも言いましたが、ジブとメインをしっかり引いたときにちょうど良いヘルムになるのが、6550とかそこらへんなわけです。
つまり、メインをたくさん出して走ってたら、もっとレーキが低い方がいいわけですね(レーキが小さいほどウェザーは強く、メインだしてる方がウェザー弱いので、つり合いとれます)。
さらに、マストが後傾することで、ジブとメインのラップが減って、メインを出したときにしっかりと風が逃げてくれます。
これによってメインを出せばちゃんと加速する、というチューニングになるわけです。
要は、ピンダウンしたら簡単に走れますよねということです(笑)
まとめ
ということで、トラベラーはピンアップしてテンション緩め、バングはピンダウンしてふつうにテンション入れて走りましょうということでした。
ではいったいどんくらいの値にしたらいいのか??
レングスはどうしたらいいのか??
ディフレクションはどうしたらいいのか?
体重によってどう変えたらいいのか?
トラベラーについては、ノースのガイドに従えば問題ないでしょう!
バングについては、次回以降の記事で詳しく見ていきたいと思います。
San DiegoスタイルとBrazilianスタイルをお楽しみに!(笑)