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もと京大スナイプリーダーが技術・チーム作りを発信

感覚と知識と言語化①

突然ですが、

 

みなさんの周りには、知識を詰め込みまくった頭でっかちセーラーが多いでしょうか?

 

それとも、

 

知識とか理論とか関係なく、感覚的に走っているセーラーの方が多いでしょうか?

 

すべての選手がこの2パターンに分類されるわけではありませんが、少なくともこういった類の選手は存在すると思います。どっちのタイプの方が速いんでしょうかね、、。気になるところです。

 

この記事では、知識と感覚がヨット競技にどう影響してて、それぞれどう大事なのか。

そしてその二つをどうやって結び付けたらいいのか。

そんなことを見ていきたいと思います。

 

この記事の内容は、短期間で成長するために非常に役立った考え方でもあります。こちらの記事も参考にしてみてください。

 

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ヨット競技の特徴

ヨットはほかのスポーツに比べて、道具の重要性が高い競技です。

陸上や水泳が自分の身一つで競技しているのと比べたら、その重要性は一目瞭然です。

だから、必然的に道具について知っていないといけない。

どこをいじったら何が変わるかとか、知らないと何も始まりません。複雑な原理すべてを知っている必要はないかもしれないけど、最低限のベーシックな理論くらいは知ってないと話になりません。

 

また、他のスポーツに比べて、知っている知識の量・質がものをいうスポーツでもあります。

コース取りのセオリーを知ってるか?とか、スタートで大事な要素を知ってるか?とか、、知っていた方が良い知識を挙げだしたらきりがありません。

 

この記事で、知識量の大切さについて詳しく書いています。

 

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しかし、知識だけ詰め込んでも、良い順位を取れるわけではありません。

実際に船に乗って、風を感じて波を感じて、船の挙動を感じられないと、速く走れません。

要は、感覚が重要です。

 

では、この知識(理論含む)や感覚はどうヨット競技に関わっているのでしょうか?

 

 

知識

知識といっても幅が広いです。

 

ヨットの部位の名称を知っているか(ジブとかメインとか)なんかのド基本の知識から、

ヒールをつけるとウェザーヘルムがかかるとか、

クローズは基本的にフラットで走るとか、

船のビルダーによって船の重心がどう違うとか、

去年の全日本チャンプの艤装はここが特殊だったなどのマニアックな知識もあれば、

琵琶湖の南風はこの吹き出し口からのブローが強いなどの、くそローカルな知識もあります。

 

ここには少ししか挙げませんでしたが、ヨットにはほかにもいろんな知識があります。

ここでは上の記事とは違った切り口で知識ついて考えてみます。

 

それらの知識を大まかに分けると、

①誰でも知っている知識

②知っている人もいれば知らない人もいる知識

の二つがあります。当たり前すぎますね。以下、この二つの分類に沿って見ていきます。

 

①誰でも知っている知識

誰でも知っている知識というと、かなり大げさにも思えますが、例えば、スタートは五分前からシークエンスが始まるとかは一度でもレースに出たことがあれば全員知っている知識ですし、極端な話、470を知らない人はいないでしょう。

 

馬鹿にしているかと思うかもしれませんが、この知識で成績に差は出ません。

 

ただし、この「誰でも」という単語の前に例えば、「京大ヨット部の誰でも」というように、チーム名をつけてみるとどうなるでしょうか。

 

チームの中の人間なら、「誰でも」知っている知識。

でも、この知識はほかのチームは知らない可能性がある。

例えば、琵琶湖の特徴は京大ヨット部の中では共有されているけど、関東の大学ではそんな知識は全く必要がないし、共有されているわけがありません。

 

その状況で琵琶湖でレースをしたら、多少なりとも琵琶湖を知っている方が有利になるでしょう(それだけで勝てるわけではありませんが)。

これが、②の知っている人もいれば知らない人もいる知識の具体例です。

 

②知っている人もいれば知らない人もいる知識

上では、知っているチームと知らないチームの例を出しました。

これが多少なりとも、ヨット競技に影響を与えるのはわかり切っています。

 

昨年のインカレ470級は慶應が優勝しました。

彼らは10月に開催地の西宮に入ってひたすらセパレートして、海面調査をしていました。

その結果は、みなさんご存じの通りです。

 

知っているチームと知らないチームの例は、特定の海面情報に限った話ではありません。

詳細は上の記事に譲りますが、今年の春に関東のある大学の練習を見に行った時のこと。

なぜか、レース艇が原始的な艤装スタイルのまま使われていました。

関東には、そこらへんに速い社会人の方がたくさんいて、船を見せてもらえるにも関わらず、です。なぜ、そんな艤装も知らないのか、とても不思議に思ったのを覚えています。


ただ、その艤装を知っているだけでパフォーマンスが上がることは確実でした。それを知らないということ。その時点で自分たちがどれほどもったいないことをしているのかにすら気づくことができません。

 

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一回生の頃、無風タックでこんなロールつけたら速いことなんて知りませんでした

 

だから、知識は大事です。

 

今自分たちが知っている知識の量や質は十分なものなのでしょうか?

それを一度でも疑ったことはありますか?

いま正しいと思っている知識は本当に正しいんですか?

全国のトップレベルの選手の走り方を知っていますか?

 

チームが知っている知識量というのを最低限増やしておかないと、土俵にすら立てないです。それは、あらゆる面においてです。ヨットに限らずです。インカレを見据えた場合、求められる力は多岐にわたります。

 

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後輩への接し方は、本当に今のままでいいのか、もっと良い方法があるんじゃないか、とか疑ったことありますか?

 

知ってるだけで実践しなければ意味がないのは重々承知です。

ただ、知っていないとそもそも何も始まらないということもあります。

 

 

知識というものの重要性が少しでも伝わっていたら幸いです。

 

まとめ

本当は感覚の話もしたかったんですけど、知識について書いてたら長くなってしまいました笑

 

ヨット競技は、道具を使うスポーツであり、知識と感覚が非常に重要になります。

そのうちの知識というもので、差がついてしまったら、その時点でスタート地点に差が生まれてしまいます。だからこそ、そんなしょうもない次元で勝敗が決さないでほしいと思っています。

 

もちろん、知識だけで、勝敗が決するわけではありません。

そこらへんは次の記事で見ていきたいと思います。