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もと京大スナイプリーダーが技術・チーム作りを発信

感覚と知識と言語化③

このシリーズは、一つの記事に収めるつもりだったんですけど、気づいたら三つ目になっちゃいました、、。

 

前回までの記事の要点。

 

・知識量で勝敗は決まらないが、キーになるときもある

・あまりにも知識がないと、知らんうちに損することになる

・感覚はヨットにおいてクッソ大事

・そもそも感じるべき対象(知識)を知らないと、感じれるもんも感じれない

・感覚に頼らなくていい部分(例えばマーキング)を積極的に増やす

 

なんだかんだ言って、どうやったらもっと感覚を鋭くできるのかってことへの答えから逃げてますね。それをこの記事でまとめたいと思います。

 

 

 

感覚を言葉にする

まずは、感覚を言葉にすることの重要性について。

ここでの言葉っていうのは、ちゃんとした単語であったり、文章という意味ではありません。

 

京大だと、船の挙動や選手の体の動きが擬音語や擬態語で表現されることがとっても多いです。

たとえば、ぬるぬるハンドリングするとか、あいつのハンドリングはガチャガチャしてるなとか、ガツンと起こすとか、ぬるっと起こすとか、デュクシボンバーとか、、、笑

 

これらの単語はある特定の船の挙動や選手の動きを表してはいますが、他の人に上手く伝わっているかは怪しいところです。ただ、これに関しては、自分がわかってたら良いです。

 

ヨット上で起きるでき事すべてを、ちゃんとした単語を使った文章にするのは無理だからです。

表現できるとこは限られてます。なので、感覚的な表現に頼らざるを得ないとこ以外をちゃんとした文にするくらいでいいです。

 

例えば、

「急に風が落ちて、波だけ残ったときはヘルムがガチャガチャしちゃうなあ」

とか。

 

別にわざわざ言葉にする必要もないかと思うかもしれませんが、言葉にするメリットがちゃんとあります(と思う)。

 

言葉にするメリット①

まず一つ目のメリットですが、分析が可能になるということです。

 

なんとなくヘルムが変という表現よりも、ヘルムがガチャガチャしてるの方が、実際に何が起こっているか想像しやすいです。そうすると、じゃなんでそうなってるのか、とか考えやすいですし、そっから持ってる知識を使って改善策を思いつくこともあるかもしれません。

 

ヘルムのうちウェザーが強くてガチャつくのか、リーが入る瞬間があってガチャつくのか。両方なのか。それがわかれば、じゃあセッティングをこう変えようとか策が出てきます。

 

なんとな~くヘルムが変だなとかっていう漠然とした感覚を擬音語でも何でもいいから言葉にすると、思いがけない解決法を思いつくかもしれませんよ。

 

 

言葉にするメリット②

二つ目のメリットは、再現性が上がることです。

 

なんとなくヘルムが変だったという感覚をガチャガチャという単語でタグ付けしとけば、次に同じような感覚に陥った時に素早く対処することができます。たとえ、状況が多少違くても、もともとの経験をベースに考えることができれば、より早く策を講じれると思います。

 

これは、悪い感覚だけに限った話ではないと思います。

自分が調子良いときの感覚をとにかく、言葉にする。自分しかわからなくていいです。僕も、デュクシボンバーわっしょいブリブリとか、結構使ってました笑

 

そうすると、スランプに陥った時とか、テスト明けに久しぶりにヨット乗ったときとかに再現しやすくなるんじゃないでしょうか。少なくとも僕はそうでした。

そういうときにああこれこれこのブリブリ感とか言いながら、やってると感覚が戻ってくるのが速いですし、スランプに入っちゃったときとかほんと大事だと思います。

 

感覚をイメージにする

言葉にするのとほとんど一緒なんですけど、何かに例えて感覚を表現するみたいなことでしょうか。

 

例えば、マシンガンのように話すとかいったら、すげえイメージしやすいと思います。それと同じです。「飛びタックはロケットのように」とか、まじで僕は思って動作してました笑

 

とくに、新しい動作を身に着けるときに、これができてると上達がものすごく速いです。

一回うまくできた動きとか、うまい選手の動きをイメージとして持っとくと、再現性が上がります。これは、スポーツ心理学でも言われていることらしいです。

 

動作を逐一言葉にすることもできます。

さっきの飛びタックの例なら、船の角度が~くらいになったときにジブを切って後ろ脚を反対デッキに移動させつつ云々、、。など笑

でもそれを唱えながら動作なんてできっこないですよね笑

そん時に、とりあえずジブ切ってロケットみたいに飛べばいいっていうイメージがあればごちゃごちゃ考えずにその動きを再現しやすくなります。

 

そもそも人間の動きは無数の要素から成っていて、その中にも無意識の部分がたくさんあって、全てを言語化できるなんてことはあり得ません。全体としてただ何となくこうとか、そういうことってすごく多いです。

 

人の顔を認識するときに、目の形がタイプAで、口はタイプWで、眉毛がzタイプだから、これは高校の時の先輩の鈴木さんだなとか、やってる人がいたらキモイです。ただ全体として、その人の顔を認識していますよね普通。

 

選手を評価するときもそうです。すべての要素をつぶさに洗い出して分析することは不可能だと思います。

 

 

www.zkst-kuyc.work

 

すこし話がそれましたが、感覚の全ての要素を洗い出して言葉にするのはむずいです。だからこそ、全体として把握するための方法としてイメージを持っておくというのはありなんじゃないでしょうか。

 

 

 

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イメージは大事

 

感覚を聞きだして自分の形にする

これは、自分の感覚じゃなくて、他人の感覚です。

上手い人がどうやって何を感じているのかを聞き出す能力と、それを自分がわかる形に変換する能力があると、セーリングのレパートリーが増えます。

 

京大のエースは感覚抜群セーラーでしたが、語彙力は圧倒的に少なかった。。。とにかくボンバーしか言わん。その説明は擬音語で溢れかえっていて、理解できるときもありましたが、だいたいの人間には理解できないことばかりでした。

 

ただ、他大にめちゃくちゃ翻訳能力が高い同期がいて、彼はその擬音語まみれの説明を自分が理解可能なものにして吸収してました。

これってかなり大事なことなんじゃないでしょうか。

上手い人が何を感じてるか、その人自身がうまく説明できなくても、できるだけ近い形でその感覚を吸収出来れば、自分の糧になります。

 

自分の感覚やほかの選手と比較することもできるようになるでしょう。

 

ちなみにその同期については、この記事で触れていますよ~

 

www.zkst-kuyc.work

 

まとめ

以上このシリーズのまとめとして、言語化について書きました。

感覚を言葉やイメージにすることで、

・分析が可能になる

・再現性が上がる

・自分のセーリングのレパートリーが増える

というようなメリットがあります。

 

ヨットは、知識量が重要になってくる競技であるとはいいましたが、その知識をうまく使うためにも、感じたものを言葉にできると強いと思います。

 

感覚→言語化→知識と照らし合わせる(分析)→解決策→試す→感覚・・・

 

といった感じでしょうか。言語化は、ヨットで前を走るために必要な知識と感覚をつなぐ架け橋になると僕は思っています。

 

自分センスないわああて思ってる人が少しでも希望を持ってくれたらうれしいです。