コースの引き方特集の①ということで、コース取りの基本のセオリーについて考えてみます。
巷で言われているセオリーは、
1.ブロー
2.リフト
3.ロング
あたりですね。
まあコース取りとか言っても、正直これだけやってれば前走れるんですけど。。。
それがなかなかできないんですよね。。。
それがいつでも上手くできるように、いろいろ考えました。
その中で、僕が最終的に落ち着いたコース取りを紹介したいと思います。
具体的には、あらゆる海面を分類し、それぞれに適したコース取りを自分の中の一応の「答え」として持ち、それに基づいてコースを引く、とういものです。
その場で何がベストなのかを考えるよりも、それぞれのコンディションにおけるベストを知った上で、タックするかしないか選択していく方が精度が高いはずです。
その前提となる上の3つのセオリーを、ちょっとだけ深堀してみます。
「伸びる」とは?
まず、艇速が全く同じ2艇の船が、風の変化だけで前にでるパターンはどれくらいあるのでしょうか?
ヘダーで前に出るとか、相手より上でリフトを受けるとか、先にブローに入るとか、いろいろあると思います。
でもよくよく考えたら、
考えられるすべてのパターンは2つに集約するんじゃないかというのが僕の持論です。
①ブローの中を相手よりも長く走る
②自分の方に風が振れる
この2つしかないんじゃないんでしょうか?
リフトもヘダーも振れた方にいる船が伸びます。
ブローも入れば相手より速く走れます。その状態が長ければそりゃ速いわけで。
くっそ当たり前なんですけど、そんだけです。
ここからは、
①ブローの中を相手よりも長く走る
②自分の方に風が振れる
というくそ当たり前のことをするために何をしたらよいのかを考えます。
①ブローの中を相手よりも長く走るために
黒い方向にぶっこむだけですね。
高校・大学時代に、オリンピックセーラーから、スタート前に左右どっちに行くかは、パッと見で黒い方に決めるという話を伺ったことがあります。
ということで、濃く見える方へいきましょう笑
ここで終わるとしょーもないので、少しだけブローについて考えます。
ブローを相手よりも長く掴むためには、
⑴相手よりもブローを先に発見する(ブローを探している時間が長い)
⑵相手よりもブローが見える(ブローを見る目が良い)
⑶ブローの中でのタックタイミングが良い
などのレベルを上げれば良いはずです。
⑴相手よりもブローを先に発見する(ブローを探している時間が長い)
これは、走らせながら周りをどれだけ見れるかということです。
ブローを見る目が同じでも、探す時間が長い方が先にブローを見つけれます。
クルーもコントロールロープをいじりながら、どれだけブローを探せるか。そのために手元の作業は自動化してどんどん外へ目を向けていく必要があります。
スキッパーもずっと周りも見ては走れないので(ジュニアの子はできるかな?)、一瞬周りを見ただけで、どれだけの情報を得れるか。そこが大事です。
練習時から、ただ漫然と走り合わせをするのではなく、できるだけ視野を外に向け、短時間でブローを探せるようになる練習を積むと良いでしょう。
⑵相手よりもブローが見える(ブローを見る目が良い)
このためには、ブローを見る目を養う必要があります。
僕がしていたのは、見えたブローについて全部リフトヘダーを予測するというものです。
ただ漠然とブローを見ていても、ブローを見る目は良くなりません。
見えたすべてのブローについて答え合わせをしたり、ブローっぽい見た目のとこに突っ込んだりして答え合わせをしないと、なんのフィードバックも得られません。
また、レスキューに乗っている時も、ブローを予測して実際に答え合わせすると、確実にブローを見る目は養われます。
ジュニアの子は往々にしてブローが良く見れます。小さいころから見てるからそりゃ見えるようになります。
みんなが漫然と時間を溶かしている間に、対ジュニアの時間といういうビハインドを埋めてしまいましょう。
⑶ブローの中でのタックタイミングが良い
これは、ブローの形や大きさに関する話です。
一口にブローと言っても、いろいろあります。
細長くて一瞬で過ぎ去るブローもあれば、海面全体を覆うようなでかいブロー、右海面にしか入らないブローなんかもあります。
ブローのどこで返すかでどのブローの中をどれくらい走れるかは変わってきます。
例えば、細長いブローだったら、ブローに入った瞬間かもしかしたらブローに入る前にタックするのがベストかもしれません。
逆に大きなブローの場合、入った瞬間に返すよりも、入ってから数秒置いて返した方が長く乗れる可能性は高くなります。
ここらへんの感覚を鍛えるために、実際に自分の目でブローを見て、どこで返すのがベストなのかを考えて、その結果どうだったのかをちゃんと答え合わせして、その経験を次に生かすという作業をするのがとても大事です。
特に、来年のインカレ会場である西宮は、ブローの形に特徴があるので、自分なりに分析してみると面白いでしょう。
②自分の方に風が振れる=風が振れる方へ行く
2つ目です。
風が振れる方にはどうやったらいけるのでしょうか?
ブローとともにシフトする場合は多いので、ブローが見えてるに越したことはないですが、それでは解決になっていません。
そこで出てくるのは、冒頭に紹介したセオリーの残り2つ。
すなわち、リフトとロングです。
1つずつ考えます。
リフト
まずリフト。
リフトとは、この瞬間に相対的に上れるような風のことを指します(という理解をしています)。
風は基本的には、細かく振動しています。
完全に片方へ振り切ってしまったら、それはノーレースとなる可能性が高いので、まともなレースの場合、多少の大きさの違いはあれほぼ振動していると考えていいでしょう。
その前提の下でリフトを走るとはどういうことか。
ミクロな視点において、リフトは今相対的に上る方を走るということです。
それはすなわち、次にシフトする方へ走っていくということです。
たとえば、右から風を受け、スターボでリフトを走っているとしましょう。
風は振動するので、いつかはリフトは終わります。
リフトが終わるということは、すなわち今よりも左に風が振るということです。
ということは、リフトを走っただけで、次に風が振れる方向へ行けた、ということになります。
リフトと逆のタックを走ってしまったら、シフトと逆海面に行ってしまうのでロスしてしまいます。
つまり、リフトを走るのは、次に伸びる方へ行くということにほかなりません。
ということで、とりあえずブローが見えなかったとしてもリフトを走れば伸びるということです。
ロング
次にロングです。
ロングとは、設定されたマークに対して、今の風がどちらに傾いているかということです。
リフトに対してマクロな視点での風の捉え方ですね。
もう言いたいことはわかったと思いますが、風が振動する場合、というかほとんどの場合は振れ戻るので(振れ戻らない場合はロングを無視する)、ロングを走ること=次に振れる方へ行くこと、になります。
とりあえずロングを走れば、次に振れる方へ行けます。
そして、ロングのいいところは、その確実性です。
ロングはマーク設定とヘディングなどで確実に知ることができます。
しかし、リフトは感覚的で小さなリフトを感じれるようになるには時間がかかりますし、ましてブローが見えたと思っても外れることはざらにあります。
なので、ロングはめちゃくちゃ大事です。安パイです。
某D大のばち速の同期がインカレはロングやろというくらいには大事です。
結論
風の変化で伸びるには、
①ブローの中を相手よりも長く走る
②自分の方に風が振れる
ことをすればよく、そのために、
1.ブロー
2.リフト
3.ロング
という三つの王道のセオリーをすれば良い。
という至ってふつうな結論でした。
この特集の②からは、具体的に海面に分けてこのセオリーの使い方を見ていきます。