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もと京大スナイプリーダーが技術・チーム作りを発信

コースの引き方⑧上マークアプローチ

すこし久しぶりの投稿になります。

上マークアプローチの話です。

 

上マークアプローチを上手くできると、順位が上で安定するようになります。

 

特に、インカレとかのビッグフリートで非常に混雑する場合は、順位の変動が半端なく大きいです。

みんなブランケと引き波でまともに走れてないです。

ここでバウを出せれば圧倒的なアドバンテージになります。

 

この記事では、そんなカオスのビッグフリートの、特に10番以降のアプローチについて考えてみます。

 

 

1.混雑したアプローチの特徴

まず、ビッグフリートの混雑した上マークの状況を考えてみます。

 

・艇が多い

・ブランケが大きい

・引き波が多い

 

なんかでしょうか。

よく魔の三角地帯とか言われているやつですね。

 

このような特徴があるので、できるだけ他艇に絡まずに一人でフレッシュを走りたいわけです。

 

そのようなアプローチをどうやったらできるのか考えます。

 

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2.同志社ウィークの公演

何年前かの同志社ウィークの招待選手でノースセイルの白石さんが招かれていました。

 

その時に上マークアプローチの話をされていて、その時のお話が僕のアプローチの基礎になっています。

 

そのアプローチとは、

 

上マークのスターボ3艇身低いところに仮想の上マークを置く。

そこからさらにポートで5艇身低いところにマークを置き、そこを目指す

 

というものです。

 

上マークの3艇身内は、ゾーン内になるのでここにポートで突っ込むのはリスキーです。

また、仮想のマークよりも右側に出るのはオーバーセールの可能性があり、リスキーです。

 

最終的にはポートで突っ込むけど、端には出しすぎないっていうアプローチです(記録が曖昧なのですみません)。

 

これができたら速そうや!というか安定しそうやなと思いました。

 

3.実際にたどり着いたアプローチ

実際には、想像力が乏しかったせいもあって、仮想のマークをイメージできませんでした。

 

そのうえで、やったのは以下のようなアプローチです。

 

①スターボレイの5~10艇身下でスターボをフレッシュで走る

②ポートを完全にフレッシュで走れる位置でタックする

③ポートを綺麗に走りながら穴を探してそこでタックする

 

①スターボレイの5~10艇身下でスターボをフレッシュで走る

レイラインより明らかに低い位置で走ります。

こうすることで、レイの艇団のブランケをまともに受けずに走れます。

また、明らかにレイよりも低いので絡んでくる船が少ないです(リーバウ打ってきたりとか)。

 

もちろんオーバーセールにもなりません。

 

これだけで早めにレイにのせてぴちゃぴちゃしてる船よりもバウが出ます。

レイのどれくらい下で走るかは風によって違います。

風が弱いほど、ブランケが大きくなるので離れる必要があります。

 

②ポートを完全にフレッシュで走れる位置でタックする

完全にフレッシュというのは、ブランケじゃないってだけでなく、タックもベアも自分の好きなタイミングでできるという意味です。

 

例えば、すぐ下に同ポテンシャルの船がいた場合に、そいつがタックしたせいで障害物タックを余儀なくされ、レイまで足りなくて回航できなかったなんてことは多いと思います。

 

どんなスターボが来ても自由に逃げ道を選択できるような位置にいると強いです。

 

その位置を確保するため、スターボを走っている時に、そのタイミングを逃さないのが大事です。

タックした後にどれだけフレッシュな位置でポートを走れるのかを考えてタックします。

 

また、カオスなスターボを走れる距離を短くするために、できるだけポートレイに寄せます。

ゾーン内に入ってしまうととてもリスキーなので、ポートを完全にフレッシュで走れる位置の中で、ポートレイに最も寄せた場所を見つけてタックするのが良いと思います。

 

③ポートを綺麗に走りながら、穴を探してそこでタックする

そこでタックできたならほぼ成功です。

 

クルーとスキッパーでスターボの船をよく見て、話し合う時間が取れます。

これが一番のメリットですかね。

スキッパーがある程度帆走に集中できつつ、ミートしそうな船の対応を見極めることができます。

 

時間をかけてミート艇の対応を決めれるので、直前になってあわわわ的なことが少なくなります。

 

余裕をもってタックして、レイに乗せましょう。

 

 

最後に

とここまで偉そうに書いてきましたが、実際にはかなりオーバーセールすることは多かったです笑

 

琵琶湖や西宮インカレ最終日のような不安定なコンディションだと、端にしか入らないブローが存在します。

そんな時は自信があるならしっかりオーバーセールするのも手だと思います。

 

インカレ最終日の1レース目、京大スナイプは5-7-17でフィニッシュしましたが、1上は全員くっそオーバーセールでした笑

 

アプローチに限らず、ヨットにおいて正しいと言われていることは、多くの場合正しいだけであって、すべていつも当てはまるわけではないです。

それを受け入れた上で、型から外れた方がいいパターンを、持っておくと良いでしょう。