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もと京大スナイプリーダーが技術・チーム作りを発信

470チームとスナイプチームの分離問題:セクショナリズム

今日は470チームとスナイプチームが分離しがち、という問題について考えます。

 

大学の部活としては、片クラスで活動しているところ以外、総合の結果を重視して活動してるところが多いと思います。

にもかかわらず、470・スナイプで、それぞれにやり方があり、誇りがあり、互いに譲れないところがあるように感じます。

 

かく言う僕もそうでした笑

スナイプチームが好きすぎて、470チームのことまで考える余裕は全くといっていいほどありませんでした。

それがクラスリーダーの仕事やと思ってやらせてもらっていましたが、それにせよ、もっとやり方があったのではないか?と思っています。

 

ただの1プレーヤー同士のときは普通に話せてたのに、いざ自分のチームの利害やらが絡むと、むきになってしまうなんてことはざらにあります。

自分が所属するチームのことが好きでそうなるのは分かりますが、全体として総合を目指すという目標を見たときには、非常にもったいないことのように感じます。

 

京大だけでなく、他の部活でも良くこの話を聞くので、全国的な現象なのかなと勝手に思っています笑

 

そして、大学ヨット部に限らず、企業でも同じような現象が発生しているそうです。

そこらへんから、なにかヒントがないか探ってみます。

 

 

企業で起こるセクショナリズムとは?

企業も組織という点では部活と同じです。

その企業では、どのように似た問題が発生しているのでしょうか。

 

部内に470チームとスナイプチームがあるように、企業にも部署(セクション)という単位があります。

部署ごとに、特化した分野や役割があります。

それをしていく中で、自分たちの部署の利害や立場に固執するあまり、他部署に対して否定的・非協力的な態度をとってしまうことが散見されると言われています。

 

このような思考傾向をセクショナリズムと言います。

部署割拠と言った方がわかりやすいかもしれません。

 

部内でそこまでの割拠状態が起きているかはわかりませんが、少なくとも似たような状況にあるのは間違いなさそうです。

 

部内でのセクショナリズム

これを、ヨット部という組織に置き換えてみると、470チームスナイプチームそれぞれを部署と考えて良さそうです。

 

企業に理念があり達成すべき目標があるように、部という組織においても、全体で達成すべき目的や目標があります。

その中に、ある一定の分野を専門とした、部署=各チームがあります。

そのセクションごとにやるべきことがありますが、全体としては組織の目標に向かっているという点で、どちらも同じです。

 

なぜ、起こるのか?

では、なぜセクショナリズムは起きるのでしょうか?

全体としてみたら非効率的なのは一目瞭然なのに、なぜこれほど頻発してしまうのでしょうか。

 

仲間意識

チームという単位での利害は一致しており、それを守るという自然な感情から仲間意識が芽生えます。

自分たちのチームの利益を求めた必然の結果ですが、これが行き過ぎると、他チームに対する無関心や批判的な態度になってしまいます。

 

心理学で、人を好き(like)になるのには5つの要因があると言われています。

そのうちの一つが、どれだけその人と近いかというものがあります。

すなわち、高頻度で会っている人ほど愛着を持ちやすいということです。

 

470とスナイプは基本的に練習もミーティングも別でします。

それぞれが顔を突き合わす回数は、チーム内の方が圧倒的に多く、そりゃ自チームの肩を持ちたくなるわな、という状況です。

一日に何時間も同じメンツでそんなことをしてたらそうなりますね。

 

縄張り意識

これも仲間意識とかなり近いですが、自分たちの縄張りを守ろうとする感情です。

縄張りと言ったら大げさかもしれませんが、要は自分たちのチームさえ良ければいいやといった感情です。

 

そういった感情から、視野が狭くなってしまい、情報の共有やそれぞれのチームでの気づきなんかをシェアしきれずに終わってしまうということになります。

 

人間は自分が属する集団の外に敵がいると一体感が増すと言われています。

「いま戦争している国同士も、もし地球に宇宙人が攻めてきたら協力するやろ。」

と、僕が所属するラボの教授が言っていましたが、的を射てるのではないかと思います(そんな簡単な問題ではないですが笑)。

 

よく冗談で「これだからスナイプは~~笑」みたいなことを言いますが、冗談やったとしても、それが常態化すると変な縄張り意識が出てくるのではないかと思います。

 

同調圧力

最後に同調圧力について。

人間どうしても、同じような考えを持った人の集団にいると考え方が偏ってきます。

 

人間が集団に属した時にかかる力学として、集団極性化というものがあります。

 

何か集団として意思決定するときに、属する集団の多数派の意見に流され、結論がその方向に偏ってしまうという現象です。

 

意思決定に関わらず、少しでもなんかしらの考えの人が多い風潮があれば、その動きは加速してしまうのではないでしょうか。

実際思っていなくても「470はこれだからあかんねん」とか言ってると、それが芽となり、集団としてそっちの方向に流されていきます。

 

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解決策

 

目標・理念の共有

こう書いたらなんか大それたことのようですが、要するに、部として何を目指してるのか、その方向性を今一度確認することが大事ということです。

 

例えば、部の目標が総合優勝なら、総合優勝を達成できるかどうかが争点であって、各クラスの順位は全体としてみたら小さなもんなわけです。

各クラスの順位が何位だろうが、総合優勝できれば一番うれしいわけです。

 

部としての全体の目標というものを、これでもかというくらいに共有することで、視野を広げ、自分たちのチーム内でとどまらないようにできるはずです。

他チームをdisるような態度をすれば抹殺されるくらいの視野の広さをみんなが持てたら、最高ですね。

 

全体として活動しているという考えがマジョリティになれば、そこから先は比較的スムーズにいくように思います。

 

情報の共有

情報を共有するということは、単にその字面以上に意味があることのように感じます。

日頃からお互いに情報を共有しあっていれば、互いに意見が言いやすくなりますし、互いに全体の目標に向かっていることを確認できます。

他チームをdisるのではなく、より建設的な会話ができるのではないでしょうか。

 

違うチームと面と向かって話す機会も増え、会う頻度という点でもプラスに働くでしょう。

 

チームを横断した繋がりを増やす

これも情報の共有と似ていますが。

 

チーム内で完結せず、違うチームの部員と共同で何かをするという作業によって、変な縄張り意識を減らせますし、より俯瞰的な視野を持てます。

 

470とスナイプで走らせ方や動作の仕方なんかの、船の特徴による違いはあります。

しかし、例えば、コースの引き方であったり、効率の良い練習方法であったり、新人の教育方法であったり、といった面では共通するところが多いのではないでしょうか。

 

そういった部分で、日頃から顔を突き合わして話す機会を意識的に設けることで、チーム間の垣根を越えて、より全体的な考えを持てるようになると思います。

 

 

結論

セクショナリズム:

ヨット部でいうところの470とスナイプの互いへの無関心・否定的態度といった問題

 

原因:

仲間意識や縄張り意識などによる

 

解決策:

「部」の目標を再確認する

情報を共有する

チームを横断した繋がりを増やす

 

といったところでしょうか。

 

現役時代に全くと言っていいほど関与してこなかったところですが、総合を目指すのであれば避けては通れないことだと思います。

より多くのチームが、全体として
より良いパフォーマンスを出せることを楽しみにしています。