今日は、インカレにおいて、470とスナイプの勝ち方は違うのか、また違うならどうやって対策していったらいいかを考えます。
スナイプの人間なので、470に関しては、外から見たスナイプと比べての限定的なものになるので、そこはご了承ください。
1.土俵に立つまでが短いスナイプ
今年の西宮インカレで、広島大学が6位入賞したのは記憶に新しいと思います。
二年前の福井インカレでも、前年度15位の京大が7位に食い込んだりしました。
470に見られないスナイプクラスの特徴として、国立大学が前を走りやすいというものがありますがそれは何故でしょうか?
スナイプの特徴として、よく言われるものに艇速差がでにくいというものがあります。
実際に社会人のトップセーラーの方と走ったらその差は歴然としているのですが、470ほどではないように感じます。
学生レベルなら、シフトが一発大きく入れば逆転できるほどの差しかありません(もちろん艇速がなければ前は走れませんが)。
船の新旧もそうなのですが、470ほど新しい船と古い船の艇速差が出にくいというのも特徴です。比較的船が古い国立が前を走れるのはここにも要因があります。
ヨットレースの基本として、ボートスピードは前を走る前提といったところがあります。
スナイプの場合、戦えるレンジすなわち前を走るポテンシャルのある艇速を、比較的簡単に手に入れれるのではないかと思います。
レガッタ全体を通してみたら、速い人が安定するのは間違いありません。
しかし、インカレの成績を見てみると、団体成績も個人成績もぱっとしない大学の選手で、たまにシングルをとったりする人が見つかります。
艇速という要素がシングルではないのに、シングルをとれてしまうレースがあるというのが、インカレのスナイプ級です。
インカレの特殊性についてはこちらを参照してください。
つまり、多少遅くても、シングルをとれるような良い展開のレースをし続けることができれば、シングルとまではいかなくても中盤より上でまとめれてしまうのではないかということです。
簡単に言ったら、艇速差がないから、遅くても展開さえ良ければワンちゃんあんでっていうクラスですね笑
2.スナイプが土俵に立った後の戦い方
では、ある程度の実力をつけた後、どのように戦ったら良いのでしょうか。
上で述べたように、多少遅くても前を走れてしまいます。
個人戦上位選手が大きく崩すことも多いのがスナイプの特徴です。
要は、速いだけでは勝ちきることができません。
艇速差が少ないからこそ、メンタルを保てた人が前を走れます。
いつも通りを徹底できた人が、良い展開をできます。
自分の実力を把握して、それに見合ったレース展開をしたら良く、インカレだからといって特別なことをする必要はありません。
つまり、絶対に横文字をとらないとか、スタートで攻めすぎないとか、そういったリスキーなことを減らしていくだけで、相対的に前に行きます。
ということで、スナイプに限って言えば、純粋なヨットの実力よりも、マックスパフォーマンスを出す力の方が大事ということになります。
マックスを出す力については、インカレ②で書いています。
個人の実力ももちろん大事ですが、その実力を出し切れるようなチームの土壌を作ることが大事です。
チームによっても、メンツによっても、その形は違うと思うので、それぞれに合った形を目指したらよいと思います。
3.土俵に立つまでが長い470
スナイプについては、上のような感じですが、470はどうでしょうか。
実際に470でインカレに出たことがあるわけではないので何とも言えないですが、スナイプとは大分違うんではないかと思っています。
純粋なヨットの実力とマックスを出せる力が大事というのは変わりませんが、スナイプよりも純粋なヨットの実力が大事になってくるのではないかと考えてます。
艇速差が出にくいスナイプに比べ、470は学生の中でも艇速差があります。
クローズでプレーニングしてる選手としてない選手がいるみたいなことが起きます。
シフトが入ろうが何しようが、そこまでの差が合ったら勝てません。
今年の関東インカレの決勝で1~9位が早慶日で埋められたレースが、艇速がいかに大事かを物語っています。
そんなことはスナイプではできないことであり、これが470の特徴だと思います。
トップレベルの艇速に達するのは非常に難しいですが、ひとたびその実力をつけてしまえば、後は比較的安定するのではないでしょうか。
少しくらいレース展開をミスっても、いくらでも挽回のしようがあり、スナイプほどトップ選手が崩さないのではないかと思います。
土俵に立つまでが長く、立ってしまえば、あとは上位の中での戦いといったところでしょうか。
4.インカレに必要な実力
やはり、実力が命やと思います。
上位チームの中で戦うのに必須です。
実力さえあれば、ある程度上の順位でまとめられるので、精神的にも楽になります。
そのために、何が何でもトップの実力をつける必要があります。
外部のコーチングや装備の新しさ・最先端の知識の重要性はスナイプに比べて圧倒的に高いです。
質の高い情報を集め、それを試し、身に着ける必要があります。
死に物狂いで今より上のステージに立つ必要があります。
もちろん、スナイプ同様、インカレでマックスを出す力も大事です。
でもそれは、土俵に立ってからの話であり、同じステージに立っているチームどうしの優劣を決めるにすぎません。
いくら本番でマックスパフォーマンスに近いものを出し切れたとしても、ステージを超えたジャンプはできないのではないでしょうか。
情報を集め、試し、身に着ける。
実力をつける。
そして、上のステージに食い込む。土俵に立つ。
そっからが、本番。
その中で何番になるのか。
そこでやっとチーム力が問われると思います。
まとめ
こうしてみると470とスナイプでかなり勝ち方が違うのではないかと思います。
土俵に簡単に立つことができ、実力と同時並行でチーム力が要になってくるスナイプ。
実力をつけ土俵に立つまでが長く、そのステージの中でチーム力が問われる470。
どちらも根本的に必要な力は同じですが、その順序や達し方は違うのではないかと考えます。
インカレ特集はこれで終わりますが、また何か質問などが出れば、続けたいと思います。
チーム作りについては少しずつ記事を書いていこうと思うので、「チーム力」というところではそちらも見てみてください。