僕は高校からクルーを6年間やった後、去年の2月にスキッパーに転向しました。
インカレまでは8か月くらいですかね。
最後のインカレでは奇跡的に個人成績3位をとれました。
引退してからヨットに乗ると、直前までやっていたスキッパーよりもずっとやっていたクルーの方が上手くできてしまうんですよね、、、
自分のスキッパーとしての技量って、即席で間に合わせただけなんやなあと思ってしまいます。
きっと全国のどこかには、クルーからスキッパーに転向した人もいるでしょうし、その逆もいるでしょうし、短期間で結果を出さないといけない人もいると思います。
その人たちのために記事を書きます。
- 8か月のだいたいの流れ
- 最初はとにかく動作(2・3月)
- コースはクルーに全部任せて、とにかく走れるように帆走に全神経を集中(2~4月)
- リコールしても前を走る(3月)
- ボートスピードの研究を始める(5月)
- スタート技術の研究を始める(5月)
- コースを二人で引くようになる(5月~)
- ペアとしての形が未完成ながらできつつある(6月の個人戦予選2位突破)
- 七大戦で九大に負けリーダーとして死ぬ(7月)
- 全く走らず成長を感じられずペア解散の危機(西宮夏季イン8月中旬)
- ペアと向き合い全日本個人戦へ(8月下旬)
- ボートスピードが爆上がりする(個人戦11位)
- 自分のメンタルの弱さが露呈する。燦燦たる結果(インカレ予選9月中旬)
- 自分と向き合う(~インカレ)
- 成長することを辞め、技術を固める・ボトムのパフォーマンスを上げる・メンタルを安定させる(10月)
- インカレ本番、無心で走り切る(個人成績3位)
- 動画を見まくる。とにかく見る。
- 理想と現実のギャップを把握する
- 今の自分を超える
- 信じてくれるペア
8か月のだいたいの流れ
最初はとにかく動作(2・3月)
スキッパーになりたての頃はとにかく動作をできるように練習した。
チューニングとかは一切こだわらずに、ひたすらハンドリングできるように。
クローズはまっすぐ走れれば良いかなと思って走っていた。
お手本にする動作の動画を、動作ごとに決めて自分の動作の動画と比較して、短期間で上達できるように工夫した。
同じ動画を100回以上は見た。
コースはクルーに全部任せて、とにかく走れるように帆走に全神経を集中(2~4月)
クルーでコースを引いていたのもあってコースを引きたくなったが、とにかくレース中は走ることに集中した。
まずはエンジンになることが一番大切だと思って、コースを一任した。
リコールしても前を走る(3月)
スキッパーで前を走る経験が必要だと思い、リコールしてもいいから前を走ることにした。
3月の同志社ウィークは二連続でリコールしたが、シングルも取れてその後の糧になった。
前の人と走り比べることで自分に足りないものを認識した。
ボートスピードの研究を始める(5月)
レースシーズンの開始とともに、艇速の追求を始めた。
上手い人の動画と自分の動画を比べて、何がダメなのか研究した。
セールシェイプオタクになり始めた。
マストに穴をあけたり、ステフナーの位置を動かしたりして、シェイプをいじった。
スタート技術の研究を始める(5月)
大井さんから伺ったスタートの形を自分なりの形に落とし込んでいった。
スタートの成功率が爆上がりした。
コースを二人で引くようになる(5月~)
最終的には、二人でコースを引きたかったのでレースシーズンが始まるくらいから、相談してコースを引くようになった。
ペアとしての形が未完成ながらできつつある(6月の個人戦予選2位突破)
相談してコースを引く。
自分たちのセーリングスタイルがある程度確立した。
琵琶湖なら走れるという自信につながった。
七大戦で九大に負けリーダーとして死ぬ(7月)
リーダーとプレーヤーを同時に果たせず、どちらも中途半端になった。
チームとして勝てず、プレーヤーとしてもメンタルで負けた。
全く走らず成長を感じられずペア解散の危機(西宮夏季イン8月中旬)
チーム体制に変革がもたらされたが、自ペアは全く走らない時期だった。
マストを変更し、チューニングがバグった。
走らない焦りからペアの信頼関係が崩れ、ペア解散の危機に陥った。
ペアと向き合い全日本個人戦へ(8月下旬)
ペアと本音を話しあい、もう一度全国を目指すことを決意。
ボートスピードが爆上がりする(個人戦11位)
チームのことを考えるしがらみから解放され二人ともヨットに集中。
良い艇内環境で、お互いに技術が急成長する。
チューニングが固まる。
全個前の練習レースでひさびさに前を走り、自信を取り戻す。
クローズ中のヘルムがわかるようになり、艇速が爆上がりする。
全個で2回トップホーンを鳴らすが、ほかは微妙で課題が明確になる。
自分のメンタルの弱さが露呈する。燦燦たる結果(インカレ予選9月中旬)
自信をもって臨んだが、勝たなきゃいけないプレッシャーで全く走らなかった。
メンタルの弱さを実感。
自分と向き合う(~インカレ)
自分のメンタルと向き合う。今に集中したいと思った。
みんなとできる最後の合宿、とにかくみんなにインカレへの思いをシェアした。
成長することを辞め、技術を固める・ボトムのパフォーマンスを上げる・メンタルを安定させる(10月)
ここで上手くなっても本番で発揮できる気がしなかったので、自分の技術を西宮にフィットさせることにフォーカスした(個人的に西宮の海面は走らせにくく大嫌いだった)。
チームの雰囲気作りのラストスパート。
とにかく、自分たちのセーリングスタイルの確認を行った。
インカレ本番、無心で走り切る(個人成績3位)
インカレ本番は、チームのことは一切考えなかった。
それまでに全てを賭けていたし、みんなを信じて走るだけだった。
自分の走りに集中した。
動画を見まくる。とにかく見る。
上のような流れをするうえで最も大事だったのは動画を見ること。
動作なら、手本にする動画を自分の中で決めてそれを実践しながら、自分の動画を見てできてるところとダメなところをひたすら探した。
手本の動画は、例えば顔の向きやシートの握り方や足の置き場など、細部にわたって研究した。
全ての動きに理由を持てるように練習した。
帆走も、コンディションに分けて、お手本の動画を決め、自分の帆走と比べた。
シェイプについては、下から見たものと後ろから見たものをできるだけ一致させるようにした。シェイプをスクショして、ペアと良いシェイプ集として共有していた。
ハンドリングも、波や風の変化に対して、上手い人がやってることを試して、使えるものはマネして、自分の帆走スタイルを確立した。
手本にする動画は何十回も見るし、自分の動画も何十回ときには100回以上見るものもあったと思う。ヨットに乗れなくても動画見てるだけで上手くなると思っていた。笑
理想と現実のギャップを把握する
これは、最終的にインカレで走るために必要な、いわゆる自分の理想と現在の実力の差を常に把握してたってこと。
たとえば、微風のタックは成功したらインカレでも通用するけど、成功率はまだ低いから、ボトムのパフォーマンス上げなきゃいけない。だけどジャイブはまだ成功しても全然通用しないから、まずマックスパフォーマンス上げなあかんな的な。
全ての風域・波のコンディション、全ての動作・帆走・スタートにおいて、インカレでの理想と自分とのギャップを認識して練習に臨んでた。
だから、その日にどんな練習しても、自分に今最も足りてない技術がわかってて、効率よく練習できたと思う。
その中で例えば、トラベラーシーティングとかあまりにも理想と現実のギャップが大きすぎてしかもインカレまでの時間が限られてるときは、潔く諦めてた。
そのうえでバングを極めるとか、自分にできることの中でそのパフォーマンスを上げることにフォーカスしてた。
基本的に理想に近づけていくけど、どこかのタイミングで理想に達することを諦める部分が出てきて、今ある技術を固めることに徹するのが良いと思っていた。
トラベラーは6月くらいにはあきらめてたかな。
全ての成長を辞めたのは10月で、そこからは自分にできることの精度を上げていた。
今の自分を超える
とは言っても、理想までの道のりはすごく長い。今何をしたら良いのかわからなくなることもあると思う。
んで、今何をしたら良いのか。
その答えは僕の中では単純で、今の自分を超えること。
一歩でも前に進めば、今の位置からでは見えていないことが見えてくる。
今見えていないやるべきことも見えてくる。
そうすることによってしか成長なんてできないと思う。
その先に、最終的になりたい理想があれば良いんだと思っている。
と偉そうに書いてるけど、僕自身もギャップが大きすぎて悩んだことはたくさんあります。これは、その時に早稲田の大好きな先輩にいただいた言葉です。笑
そうでもしないと、8か月でインカレ走るなんて無理難題を前に何もできなかったと思います。だって、舵も持ったことないし、ギャップでかすぎますからね。
でも、今のへたくそな自分を超えることはできる。その繰り返しで、成長できたんやと思います。
信じてくれるペア
上にいつも通り、さもそれっぽいことを書いたわけなんですけど、これは僕だけでは絶対できませんでした。
スキッパーに転向してから、最後のインカレまでQPとしかペアを組んだことがないんですね実は。
前年度までクルーでレギュラーしてたやつと一緒にペアを組むのは本当に大変だったと思います。それでも僕の好きなようにやらせてくれたペアがいなかったら、こんな上手いこといかなかったんちゃうかなと思います。
一時はペア解散の危機にも陥りましたが、それを乗り越えることもでき、そのおかげで圧倒的に上達することができました。
最短で上達するためには、良いペア関係が必須だと今になって思います。それも含めてヨットやと思います。
短い期間で結果を求める人たちを応援してます!!