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もと京大スナイプリーダーが技術・チーム作りを発信

リーダーとは何なのか①

リーダーとは何なのか。リーダーシップとは何なのか。

一年間、無限に問い続けてきました。

全国優勝しても答えは出ませんでした。

たくさんの本を読み、色々な人と話した今になって、ようやくその形が見えつつあります。

 

たくさんのことを試し、たくさん失敗した一年でした。実践できなかったことも、上手くいったこともありました。リーダーという役職から多くのことを学ぶことができました。いわゆる「圧倒的な実力でみんなを引っ張っていくリーダー」がただ一つの答えではないと、今は思えます。いろんなチームがあっていいように、リーダーにも多様性があっていいはずです。

 

 

1.目標を掲げ続ける

パッションは消える

どんな競技であれ、体育会でプレイする以上、結果が求められます。そしてそこから一年間の目標が立てられます。一年の始まりには、今年はこの目標を達成しようと、みんなが意気込みます。しかし、このパッションを維持できている人はどれくらいいるのでしょうか。

 

部活をしていたら上手くいかないことにたくさんぶつかります。もちろんそれは打開しなくてはならないものです。しかし、その打開に必死になるあまり、本来の目標を見失ってしまうことは多いのではないでしょうか。自分のことに精一杯で、全体の目標にまで目がいかないということです。また、部活以外の事情で手一杯になって、そうなることもあると思います。ほとんどの人がこの類の状態に陥っていると感じます。年始まりに持っていたパッションはどこかに消え失せ、漫然と練習を消化してるなんてことにもなりかねません。

 

もちろん、人間だれしも浮き沈みがあります。相当なパッションの持ち主でない限り、一年間通して目標を見据え続けることは難しいです。リーダーはその年の結果が求められ責任を負っているので、目標を自ずと意識する立場にありますが、ほかのメンバーは違います。順調な時はまだしも、壁にぶつかった時に目標を見失ってしまうことは多いはずです。

 

 

目標を掲げ続ける

だからこそ、リーダーは目標を掲げ続けるべきです。みんなが目標を見失わないように、向かうべき方向を示し続ける必要があります。一年間に部で行われるあらゆる活動は、その年の目標を基準に決定されます。その、全ての活動のもとになる目標という根幹を見失ってしまったら、どうしようもありません。

リーダーが目標を実現可能なものとして、掲げ続ける。メンバーも、見失い欠けていた目標を取り戻し、潰えたパッションを復活させる。これが、結果を求められたチームには必要です。

 

そうして、目標がチームの隅々まで浸透すれば、目標を掲げるという役割はもはやリーダーのものだけではなくなります。パッションを失い目標を見失い欠けているメンバーをケアするのは、なにもリーダーだけに限る必要はありません。

リーダーという立場にあって情けない話ですが、僕自身も目標を諦めてしまいそうになったことが何度もありました。そのときに本当の目標を思い出させてくれたのは、チームメイトでした。かつて自分が鼓舞したチームメイトが、今度は自分の背中を押してくれている。リーダーにとってこれほど嬉しいことはありません。そして、そこに先輩も後輩もそんなもんは関係ありません。リーダーシップはリーダーだけが持っていれば良いというものではないのです。

 

2.目標への道のりを示し続ける

ビジョンは見えない

目標を立てたはいいものの、そこへ達するビジョンが見えないというパターンもあると思います。先輩は頑張っててすごいなあとか、俺は今年関係ないからなあとか、目標は達成したいけど正直何したらいいかわかんないしどうやったら達成できるのかわかんない、といった状況になりやすいです。特に下級生がなりがちですね。

例えば、インカレに出たことのない選手がインカレというものを鮮明にイメージすることは難しいです。リーダーが描くビジョンをほかのメンバーが描けていないことは多々あります。最初から上手くイメージできる人もいますが、みんながみんなそうではありません。全くもって想像もできない目標へ向かって高いモチベーションを保って努力するのは至難の業です。

 

ビジョンを示す

だからこそ、リーダーがビジョンを示すことが大切です。ビジョンとは、その目標へどうやったら到達できるのかという「道」です。その道を示すことで、どうやったらたどり着けるか見当もつかなかった目標が近く感じられ、具体的にやることも見えてきます。結果、漠然と目標を追い求めるよりも、高いモチベーションを維持しやすくなります。

 

リーダーに見えていてもみんなには見えていない道。これは、リーダーが思っているよりも多いです。思っているよりもそこには差があります。また、リーダーが見えていないけど、他のメンバーに見えている道というのも存在します。だからこそ、リーダーはその目標までの道を示し、メンバーとのギャップを埋めていく必要があります。自分にとって当たり前のことがみんなにとって当たり前になるように、自分が見えていなかった道がみんなの当たり前になるように、リーダーはビジョンを示し続ける必要があります。

 

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3.伝え続ける

これは何をやるにも大事なことです。上で述べた目標を掲げるということに関しても、ビジョンを示すということに関しても、言葉でちゃんと伝えなければ、部の隅々まで浸透させることはできません。言い続けることによって、無意識のうちに目標やあるべき姿がインプットされ、当たり前にそこを目指すようになります。みんなの向かうベクトルが統一されます。ある目的を意識し始めると、それにかかわる情報をより認知しやすくなることも知られています(カラーバス効果)。

 

例えば、

「インカレってな、実はただのヨットレースなんやで。みんな特別やと思って緊張して変なことしてるだけやねん。普通に当たり前のことすればええんやで。」

的なことをミーティングの場で言ってみる。インカレにでたことがあるメンバーはインカレがどういう大会だったのかを思い出しますし、出たことのないメンバーもインカレという大会にイメージが湧きます。インカレで求められるスタンスがわかります。さらに自分や先輩の経験談なんかを交えて、より具体的にインカレの話題を出してみる。それを何度も繰り返す。そうすると、知らず知らずのうちにインカレというものがわかってきます。もちろん、実際に出たわけではないので、完全にわかっているわけではないですが、確実にインカレというものが身近に感じられます。

 

インカレに限らず、いろいろな事柄に関して、伝え続けるのが大事です。どんな時でもリーダーが前を向いて目標を見据え、それを言葉にしているということは、本当に大事なことだと思います。誰よりも熱く夢を語ること。これがリーダーの仕事です。目標を掲げることと同じように、これが浸透してリーダー以外のメンバーもリーダーシップを持つようになれば最高です。熱い話をできなくなっている時に、後輩から叱責されたこともあります。それが本来あるべき姿ですし、その後輩には本当に感謝しています。

 

4.プロセス含めすべてを打ち明ける

リーダーは、ヨットに限らず、いろいろな決定事項をメンバーに伝えなくてはなりません。レースメンバーを伝えるときなんかはほんとに辛い思いをします。リーダーもただの人間なので迷います(迷わない人もいるんかな?)。それでもチームのために、と決断を下します。しかし、実際にメンバーに伝わるのは、絞りだされた結果だけであり、そこに至るリーダーの迷いや葛藤は伝わりません。

 

レースメンバーから外れるというような、受け入れられないような結果もあります。その時に、なぜその結論に至ったのか、その決断の意図は何なのかを伝える必要があります。もしもその決断の過程で迷ったのであれば、それをしっかり伝え、俺もめちゃくちゃ悩んだけど、だけどこれがチームのためなんだよっていうことも伝えるべきでしょう。受け入れきれない決断だったとしても、そこに説明があるのとないのでは、雲泥の差です。そこで腐ってしまう人間が出てくるか、それとも受け止めきれないけどもう一度頑張ろうと思えるか。そこに効いてくるはずです。受け手側に??が残ると信頼関係が揺らいでしまいます。

 

リーダーは迷ってはいけないとか、強くあるべきだとか、そんなイメージがあると思います。別にひ弱なリーダーになれというわけではありませんが、時には弱さを見せることも大切です。強さを演じて突き放すよりも、自分も不完全な人間であることを認め、それを打ち明けて一緒に頑張ろうと言える。その方が、みんなの心がチームへ向き、最後でてくるパフォーマンスは高い気がします。

 

ディズニーのリーダーの本が参考になります。

 

9割がバイトでも最高の成果を生み出す ディズニーのリーダー

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  • 作者:福島 文二郎
  • 出版社/メーカー: 中経出版
  • 発売日: 2013/10/12
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 

 

5.各自の目標を重視し、内的モチベーションを大事にする

人は誰しも、人にやれ!と言われたことよりも、自分がやりたいことをやる方が楽しいですし、やる気も出てくると思います。もちろんチームとして活動している以上、全体の目標のために動かないければいけませんが、だからといって外発的なモチベーションで人を動かしてもその人のマックスパフォーマンスを引き出すことはできません。各個人の目標があった上で、その先に全体の目標があるのだと思います。最初からチームのためにといって動くのではなく、あくまでもひとりのプレーヤーとして、自分が最もやる気の出る目標で努力するのが一番です。

 

リーダーは、もちろん全体を見据えているべきですが、そのために各自の目標というものを大切にし、内発的にモチベーションを持てるようにしてあげるべきです。リーダーをしていたら何でそんなことしてんだよ!!と、怒りたくなるようなことはたくさんあります。そこで「お前はここがダメだから、これをやれ」と言うのもいいですが、時には、そいつの目標に寄り添うことも大切です。今回はここがダメだったよね、だけどお前の目標に対して考えたら、こんな感じで改善したらいいんちゃう?みたいな感じで一緒に問題の解決策を考える。中心にあるのは、常に個人の目標であり、主体的なモチベーションであるべきだと僕は思います。

 

これは、わかっていながら本当に実践するのが難しかったです。各自のモチベーションに任せるよりも、こちらから答えを提示した方が良いこともあったりして、どこで線引きをするのかも難しいところです。人によって違うと言ってしまえば全てのことがそうですが、リーダーがどの程度まで各自に任せるのかを見極めて接する必要があるでしょう。とにかく、チームのメンバーが内発的なモチベーションで動き、主体的に活動できるようにするのが、リーダーの役割だと思います。

 

まとめ

以上、五つの要素に分けてリーダーというものについて考えてみました。どの要素も大切だと思いますが、一つ言えるのは、どの要素もリーダーが持っていればいいというものではなく、みんなが持っておくべきものだということです。すべてのピースが各々のマックスを出し、それが綺麗にはまった時、チームとして圧倒的なパフォーマンスを出せるようになるのではないでしょうか。