SniPo

もと京大スナイプリーダーが技術・チーム作りを発信

私立と国立:勝つ意味

よく強豪私立とか、国立の雄とか言いますが、そもそも国立ヨット部と私立ヨット部は何が違うのでしょうか。

 

それを僕なりの視点で書いていきます。

 

別にどっちがいいとか悪いとかじゃなくて、特徴を考えた上でチーム作りに役立ててくれれば、という思いです。

 

 

1.セレクション制度

まず、この二つを分ける最も大きな特徴として、セレクション制度があるでしょう。

 

多くの私大には、大学入学までの戦績が認めれた選手が推薦で入れるセレクション制度があります。

チームの中心が経験者になるので、スタートラインは高くなります。

また、大学から始める選手に求められるレベルも高くなります。

 

一方、ほとんどの国立にはこの制度がないです。

大多数が大学から始めた未経験の選手になります。

未経験者がマジョリティなので、求められるレベルは私大のそれほど高くはありません(と感じます)。

 

というようなスタート地点の違い、メンツの根本的な違い、また有力セレクションの人数など、大学によってその度合いは大きく異なります。

 

自ずと理想のチーム体制は異なるでしょうし、自分たちよりも強い大学の体制を丸パクリしても上手くいかないと思います。

自分たちに何が必要なのかをわかっている必要があります。

 

チームスタイルに限った話ではありませんが、自分たちのチームが一体どういうメンバーで成り立ってて、何が長所なのか、がわかっていれば、自然と他のチームから必要な部分を学ぶことができます(自己分析的な)。

 

そして、それができれば経験者だからとか、セレクションがあるとかないとか、そんなことは関係なくなるはずです。

 

2.資金

これは、一年間に部が扱う資金の話。

 

数年前、ある関東の二つの強豪私立の年間予算は京大のそれぞれ2倍・4倍でした。

 

お金があれば活動の幅は確実に広がります。

でもそれは色んな要素で成り立っており、いきなり会計を倍するというのは現実的ではありません。

 

やはり限られた資金の中で、その年に合った最も効率の良い使いかたを模索すべきでしょう(とか言ってますが、部費未納の鬼だったのでほんとに会計の同期には迷惑をかけてます)。

 

たとえば、部員数が少ないなら、新艇とかそんなものは無視して、新歓にお金を使って部員を増やした方がいいかもしれません。

実際、京大の実力が徐々に上がってきたのは部員数の増加に従っています。

今弱いチームが、1年でいきなりトップになれるわけではありません。

それぞれの年・代に果たすべき1ステップがあるはずで、それを果たすこと・今の限界を突破することが上を目指すのに必要なんじゃないでしょうか。

(もちろん、どの大学にとっても部員数が多いことがプラスに働くとは思いませんが)

 

ということで、組織の成長段階に合わせて、もっともクリティカルな部分にお金を使うと良いと思います(実際に僕が会計にダイレクトに関わっていたわけではありません。この四年間を振り返ってみて、そう思っているだけです)。

 

 

3.部員数

部員数は上でも触れましたが、とても大事な要素です。

多いからいいとか、少ないからダメとかはないです。

それぞれ一長一短やと思います。

 

僕らはスナイプだけで11艇出せるほど多かった(なんなら船があれば更に出せた)ですが、去年470優勝した日本経済大なんかは少数精鋭らしかったですね。

 

部員が増えることのメリット・デメリットを考えて、新歓なり部員のケアなどをしていったら良いと思います。

 

少なすぎたら活動ができませんし、上の通り僕らは部員数増加に伴って成績も上昇していったので、国立にとって部員数はかなりの力だとは思っていますが。

 

4.ハード面

これは上の資金面とかなり近い話です。

 

大学によって、学校からの支援や外部からの寄付の程度に差があります。

 

毎年複数の新艇を買っているとこもあれば、数年に一回買えるか買えないかという大学もあります。

 

これもまあ新しいことに越したことはないんですが、良いとか悪いとかではないと思います。

 

一番ダサいのは負けを船・セールのボロさのせいにすることですかね。

ボロイ船で出るのなんて、大会の前々からわかってるわけで、それに対してできることをやり尽くしたらいいだけです。

 

別にマックスパフォーマンスが劣ることなんて予めわかっているわけで、そうなる前提で戦い方なり気持ちの持ちようなり、船・セールを温存するなり、いくらでも対策はできるわけです。

 

ボロイ船しかなかったら、もうそれで出るしかないです。

それを受け入れることができた人は強いと思っています。

 

5.自主性

これも大学によると思います。

どれくらい学生に決定権があるか。監督・コーチがどれくらい活動に介入しているか。

 

京大の場合は、監督は僕らの自由な活動を認めて見守るというようなスタイルだったので、学生が思う存分好き放題できていました(今も)。

ほんとうにありがたかったです。

 

外から見ていると、いわゆる伝統の強豪私立は、部に入った瞬間に全国一を目指すような土壌が仕上がっていると思います。

その土壌をゼロから作るのには、半端ない労力がかかるので、それが元からあるというのは素晴らしいことです。はんぱないです。生かさない手はないです。

 

 

対して、例えば京大のように自分たちでその土壌から作っていく場合はどうか。

道のりは果てしないです。

強豪に当たり前にあるべきものがないところからのスタートなので、同じ目標を設定した時に圧倒的に高い壁に何度もぶつかります。

 

しかし、その目標の一つ上の次元にある、勝つ意味という目的はより大きなものにできるのでないでしょうか。

 

勝って当たり前のチームよりも、勝てるはずがないと思われていたチームの方が、勝つ意味をより容易により大きく設定できるように思います。

今勝てていないからこそ、次の勝ちにより大きな意味を見出すことができます。

弱さの特権です。

 

自分たちでその意味付けをし、なんで勝ちたいのか、目標を達成した先に何を見ているのか、ひいてはなんで部活をやっているのかという目的をチームで共有できたとき、そのチームは強くなるはずです。

 

部活をやってる理由なんて、人によって違って良いと思いますし、そこの多様性は尊重されるべきでしょう。

ただ、チームの目標を決め、そこに向かっていく場合に、その目標の先にある共通の目的を持っている・目的が浸透してることがチームの底力に効いてくると思っています。

 

自主性があれば、そこが容易にできます。

 

すこし目標と目的という話に脱線しかけましたが、要は自主性は大学によって異なり、その程度によって長所短所があるので、それを活かせば良いということです。

 

 

まとめ

チームによっていろんな違いがあります。

それぞれの長所を生かしてチームを作るのが一番ですっていう結論ですね笑

 

(ここらへんの考えは、おすすめの本で紹介したビジョナリーカンパニーで詳しく書いてあります。)

 

無いもんはないし、あるもんはあります。

無いもんを埋めれるのが一番ですが、それができないなら、無いことを受け入れることが大事です。

なんなら、俺ら~もないのに勝ったでって言えるようなメンタルになれれば、もはや無いという事実を武器にできるのではないでしょうか。

 

 

学生レベルにおいて、上に挙げたような理由で絶対に逆立ちしても勝てないなんてことはないはずです。

最初から諦めてしまうほど、惜しいことはないです。

そして、それを示すことが、今年クラス優勝することの目的の1つだと思って活動してきました。

 

この記事を読んだ1人でも多くの人が、叶わないと決めてかかっていた夢を追いかけてくれたら、と思います。

 

 

それでは、長くなりましたが、いろんな個性を持ったチームがその個性を生かし、全国の舞台で活躍するのを楽しみにしています。

 

f:id:nagaKUshox:20191221232305j:image