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もと京大スナイプリーダーが技術・チーム作りを発信

インカレに強い選手③:レース本番でマックスを出すメンタル

この記事では、本番でも練習と同レベルのパフォーマンスを出すためにどんなメンタルが必要なのかを考えます。

 

前回の記事には、いろんな要因で「遅くない」ということができなくなり、その原因のほとんどがメンタルによるということを書きました。

そして、その「遅くないことができない」とは、言い換えれば、プレッシャーを上手くコントロールできていない状況です。

 

要は、プレッシャーに上手に対処できるようなメンタルになれば、本番でも自分の持っている力をしっかり発揮できるようになるはずです。

 

では、どうしたらプレッシャーに勝てるのでしょうか?

プレッシャーをはねのけるのか、それとも、そもそもプレッシャーなんて感じないメンタルを作ってしまうのか、プレッシャーを受け流すスキルを身に着けるのか。

人によって、性に合うやり方は違うと思います。

 

そこらへんをいくつかの視点から見ていきます。

 

 

 

いくつかあるプレッシャーのはねのけ方

上で書いた通り、プレッシャーに対処するといってもいろんな方法があります。

 

個人的には、大きく分けて三つのパターンに分類できると思っています。

 

①はねのけるごり押しタイプ

これは、プレッシャーに対して、最も好戦的?な対処方法やと思います。

 

でかい大会でも、「俺はこんだけ練習してきたんだから大丈夫や」とか「俺らは〇大や、この誇りにかけて勝つぞ」的な風潮は良く見られると思います。

良くマッチする言葉は、気合とかプライドらへんでしょうか。

 

このタイプはがんぎまると本当に無双すると思います。

一方で一度崩れると再起は難しいです。

諸刃の剣感があります。

 

 

②前向きに受け止めるポジティブタイプ

次は、プレッシャーをも力に変えてしまうようなタイプです。

 

逆境こそ力の見せ場といったところでしょうか。

チームの誰も走っていないようなピンチになると燃えるやつですね。この状況で俺が走ったらカッコよくね?って思えるやつです。

 

このタイプの人にとっては、プレッシャーはもはや感じないものというか、力にするツールにすぎないのかもしれません(僕自身はこの状態になれなかったので推測)

 

③仏タイプ

もはや悟りを開いている人達です。

最近の京大では、このタイプの人が多いように感じます。

何が起ころうが、どんなレースだろうが、前走るために必要なことは一緒じゃね?って思えてる人達です。

 

三回生のときのインカレで、僕は鬼のようにてんぱってたんですが、ペアの主将は微動だにしなかったそうです。そういうメンタルです。

 

外的な要因に左右されにくく安定してそうです。

 

 

ここから、上の三つのタイプについて、詳しく見ていきます。

 

①強気のごり押しタイプ

上で書いたように、プレッシャーに対処するというよりは、プレッシャーをはねのけてしまうといった感じです。

 

自分に対する自信、やってきたことに対する信頼、チームへの誇り、プライドなどによって、どんな厳しい状況でもぶれることのないメンタルを作ります。

 

1レースでも前を走って勢いがついたら最強です。自信がついて、どんどん勢いも増していきます。

逆に、1レースもしくは2連続とかで叩いてしまえば、自信を失って、心の支えを失います。

 

もともと僕はこのタイプでした。でも、自分のプライドのせいで大敗したときがあって、それ以来プライドがズタズタになっちゃいましたね。いかに自分のプライドがちっぽけなもんか痛感しました。

 

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どれだけ強く心を持っても、大会が大きくなり、レベルが上がるにつれてその心を折る要素は増えていきます。常にそれに勝ち続ける強さと、それができるだけの高いレベルを持っていないと、大きなプレッシャーをはねのけ続けることは至難の業です。

 

これができたら、自ずとプレーにも自信がついて落ち着いた展開をすることができるようになるでしょう。

 

このメンタルはいわば理想状態であり、なかなか到達するのが難しいでしょう。

 

②前向きにとらえ続けるポジティブ思考

どんな逆境も力に変えれたら夢のようですね。

特に訓練をすることなく、このメンタルを持っている人もいますが、そうでない僕のような人はどうしたら良いのでしょうか。

 

ポジティブ思考は、スポーツに限らず人間が生活する上でいろんなメリットがあるという研究成果が出ています。たとえ、本心からポジティブになっていなくても、ポジティブな行動をするだけで効果があるともいわれています。

 

つまり、この思考を意識的にすることで、効果を得られるということです。

具体的な方法については、ポジティブ心理学の元祖の著書に譲ります。

 

ポジティブ心理学の挑戦 “幸福"から“持続的幸福"へ

ポジティブ心理学の挑戦 “幸福"から“持続的幸福"へ

 

 

 

この思考法は、スポーツに限らずライフスタイルにも影響を与えるものだと思うのでぜひ試してみて欲しいです。

 

 

レース中にポジティブに考えられるようになる方法として、一つ例を挙げると、あらかじめ焦る状況を想定しとくというものがあります。

後ろ走ってても、まだまだ抜くチャンスたくさんあるぞと思えるかどうかですね。

 

プレッシャーが大きくなろうとも、それをポジティブに捉えることができれば、パフォーマンスを落とさずにプレーできます。

もともと、ポジティブな考え方を持っている人にはぴったりだと思うので、ぜひその長所を生かしてほしいと思います。

 

 

③今に集中し成すべきことを成す仏メンタル

僕は②のメンタルを目指したんですが、もとがそこまでポジティブではないので、上手くいきませんでした。

逆境の時に、「ポジティブに考えないといけない、なのにネガティブになってしまう」という一種の脅迫観念に取りつかれて、有効活用できませんでした。

 

そこでいろいろ考えて辿り着いたのが、仏メンタルです。

 

②が逆境をプラスに変えてしまうというスタイルだとすれば、仏はそれをフラットに受け入れます。その状況に対して、プラスにもマイナスにも評価を下さずに受け入れていきます。

 

行動レベルでいえば、どんな状況でもやることは同じだと思って、ひたすらやるべきことをするということです。

インカレだろうが、草レースだろうが、ヨットで前を走る方法なんて一緒です。

綺麗にスタートして、フレッシュで走って、ブローでタックくらいしか、前に出る方法はありません。

 

前を走っていようが後ろを走っていようが、その瞬間ごとにやるべきことは一つです。プレッシャーに関わらず、そのやるべきことをしていけばいいわけです。

 

この状態を応用スポーツ心理学の分野では、フロー状態と言います。

 

スポーツに限らず、ビジネス界でもフロー状態を目指す動きが活発になっています。シリコンバレーのエリートたちが実践していると言った方が試したくなるでしょうか笑

 

僕は最終学年ずっとこの状態を目指していました。

それでも、この状態になれたと思ったのは、数回だけで、いろんな感情に支配されて良いパフォーマンスを出せないことが多かったです。

とにかくメンタルを仕上げるのには時間がかかります。そのことを覚えておいて欲しいです。

 

まとめ

以上三つのメンタルについて書きました。

それぞれに長所短所があり、合う合わないがあります。

さらに、人の心なんてそんな単純なもんではないので、どれか一つに当てはまるというわけでもないでしょう。

調子が良い時は前向きに考えられるけど、調子が悪い時にはできないくらいには雑魚いです。

 

自分の性格やその時の調子に合わせて、良いメンタルを作っていって欲しいです。

 

そして、メンタルの成長には時間がかかります。その点を踏まえ、自分が目指すメンタルに向けて一歩でも近づいて欲しいと思います。